当社グループの強み・魅力
当社グループは、全国に600近くの店舗というインフラを持っていること、メーカーよりもお客様に近い存在としてお客様の声を拾うことで豊富な品ぞろえを実現できることが大きな強みです。直営店ばかりではなく多くのフランチャイズ店舗があるため、意思統一やブランド価値の向上について改善の余地はあると感じますが、フランチャイジーと時間をかけて対話し、合意を得て一気に進むことができれば、オートバックスの良さをより発揮できると感じます。また、おおらかで人柄がよく、オープンな社風だと感じています。その良さは取締役会でも生かされていて、社内・社外のバランスがとれた形で非常に活発な意見交換ができています。いろいろな会議に社外取締役が出席することで、会社の実態を理解しやすく、多くの情報を得て課題を抽出することができる点は評価しています

監査等委員としての責務
監査等委員の社外取締役という立場になったことで、得られる社内の情報が増えたことは私にとってメリットでした。
監査等委員は実査を行うわけではなく、内部監査部門の報告を受けるなどして監査を行います。とは言え新型コロナウイルス感染症の拡大がなければ、現場を訪問したり若手チームの活動に参画したりして会話をすることで、状況の確認、違和感はないかといったことが確認できたと思いますので、その点は残念ではありました。
また従来は、グループ内通報制度「オレンジホットライン」や「重大事案」について月次で件数の報告を受けていたのですが、件数の多寡で測れることばかりではありません。1件の事案は、関わった一人にとっては100%の扱いになります。安心・安全や品質管理の面からも意識レベルの向上が必要と考え、一定期間のトレンドを報告してもらい、増減の傾向も追いながら問題の本質を捉えようとしています。さらに今後は、事案の報告にとどまらず、原因追求を徹底し、その改善を全国に広げられるような仕組みの構築も必要になるだろうと考えています。

新型コロナウイルス感染症拡大への対応
新型コロナウイルス感染症に対する対策については、最前線の現場で働く一人ひとりが感染のリスクを負いながらも、最大限の対策を行い、店舗でお客様に対応していたことを頼もしく感じました。
店舗に立つスタッフはライフラインを守るという意識で現場に出ているのだろうと思います。こうした経験は、今後自然災害等で対応を求められたときにも、必ず生かせると考えています。
また、コロナ禍でクルマの価値が再認識されたことや、当初はお客様の来店が減ったものの、6月以降は徐々に盛り返して洗車用品や車内小物の売れ行きが好調だったことなど、改めて当社グループがお客様に提供できることを考え直す機会にもなりました。一方で、ネットでの販売力には課題が残ります。今回のような経験を踏まえて、実際に店舗に訪れなくても、家にいながら好きな時間にWEB上で買い物体験ができるバーチャル店舗のようなものも、今後に向けて検討する必要もあるのではないかと感じています。

当社グループの課題と将来像
SDGsに関するプロジェクトが現在進行しています。その中でESGに関しては従来から取り組んでいますが、お客様にも理解していただくという点で店舗における理想像を明示する段階に来ているのではないかと思います。フランチャイズという事業形態から、店舗のバリアフリー化などを一斉に行うのは困難ですが、社会に対する姿勢について、方向性を示す必要はあります。環境に配慮した商品コーナーを作ったり、タイヤの再利用を提案したり、店舗にクルマを持ち込んでオイル交換をする際にはタンクローリー車でオイルを運び、店舗のタンクに給油するバルク方式でドラム缶の廃棄を減らすなど、新しい取り組みの可能性も考えていくべきでしょう。また、当社グループは強いブランドを有していますが、そこには店舗や商品だけでなく、人も含まれています。経営理念に基づいた人材育成を行うこと、それをフランチャイズ組織の隅々まで共有することは、簡単ではありませんが非常に大切です。
それから、海外やオンラインなど新しい事業に積極的に取り組んでいますが、PDCAの回し方には精査が必要です。計画に対する収益など、事象のチェックはできていますが、なぜそうなっているか、どこを変えなければいけないのかの議論が少ないように感じます。コンセプトを大幅に見直したり、スクラップ・アンド・ビルドすることも時として必要ですから、今後は経営理念に照らして適切な評価と思い切った判断ができるようになればと思います。
5ヵ年ローリングプランは、変化に対応できるやり方として非常に良いと思っています。しかし、このプランが行き着いた未来にどんな世界が待っているのかというイメージを社員と共有できているかという点には課題が残ります。既存のオートバックス事業の印象が強いということもあるので、実現可能性にこだわらず大きな夢を社員に見せるということにも力を入れていくべきでしょう。

独立社外取締役(監査等委員)三宅 峰三郎

当社グループの強み・魅力
当社グループの強みは、全国に展開する店舗ネットワーク力を生かして、クルマに関して総合的に商品・サービスを提供するというコンセプトが明確であること、カー用品に関する強いブランド力を持っていることだと思います。加えて、財務的に安定していることも、強みのひとつです。一方で、課題は、新しい成長ドライバーの確立です。現在、海外事業やオンラインアライアンス事業などにおいていろいろな試みを行っています。しかし、投資家はさらなるスピード感や収益性向上を期待していることから、今後数年間は成長への一層の努力が求められます。

現在、SDGsの要請に基づく対応、気候変動問題の重要性が高まる中でのTCFDへの対応など、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。それは、成長への機会でもあります。今後は、電気自動車や自動運転などクルマに関わる潮流を捉え、中長期の視点で経営を進める必要があります。前期から進めている社会課題やマテリアリティの特定は長期的な成長に不可避のものです。それに対して社長をはじめ経営陣は明確にコミットしており、このことは非常に重要だと考えます。

コーポレートガバナンスの実効性
当社においては、取締役会の実効性を高める努力を長年継続しています。私が取締役に就任した2015年の時点で、3名の社外取締役がおり、取締役会の諮問機関であるガバナンス委員会では委員の過半数を社外取締役が占め、そこで指名・報酬の重要な方針を定めていました。その後、監査等委員会設置会社に移行し、現在は、8名中3名が社外取締役から構成されています。ガバナンス委員会の委員長も社外取締役が務めており、同委員会においては社長および取締役(社外取締役も含む)の長期的なサクセッションプランについて、議論を重ねています。

現在、取締役会の議長は社長が務めていますが、筆頭独立社外取締役を設置し、社外取締役と議長・経営陣をつなぐリエゾンの役割を果たしています。筆頭独立社外取締役は、定期的に社外取締役だけのミーティングを開催し、そこで認識された問題を経営側に伝え対応を求めるという体制も整っています。

また、社外取締役は、取締役会に加えて、経営会議、モニタリング会議などにも出席します。社外取締役が、これらの会議での議論を通して、経営に関する重要な課題を見定め理解した上で、取締役会で議論し意思決定を行っていることは、当社の大きな特徴だと思います。

新型コロナウイルス感染症拡大への対応
新型コロナウイルス感染症の拡大の中、当初は未経験の事態に手探りの対応でしたが、お客様・社員・店舗スタッフの健康や安全・安心を絶対に守るという点を常に一番に考えた上で、店舗やオフィスでの施策を適切に打つことができたと感じています。また、フランチャイズ店に対しても、人的・経営的・金銭的な支援についてすぐに検討し早い時点から対応を始、危機を乗り越える体制を構築できたと思います。こうした想定外の危機に対応できたのは、社長がリーダーシップを発揮したこと、そして全社において、クルマを介して常に顧客のことを考え、顧客の側にあろうとする姿勢があったからだと思います。

当社グループの課題と将来像
当社は、2050未来共創という長期ビジョンを掲げ、5ヵ年ローリングプランに取り組んでいます。このような中長期の目標を実現するためには、どのように環境が変化してもクルマに関わる文化を創造し続けるために、現状にとどまらず新しい分野に挑戦し成長を目指す会社の文化を構築することが、必要であると考えます。それは難しい課題ですが、若い世代がより活躍し、会社全体として新しい変化を歓迎する方向に、徐々に向かっていると感じています。

一方で、女性の活躍についてはさらなる努力が必要です。変化の中で企業が成長するには、多様性、特にジェンダーの多様性の推進が必須です。当社においては、女性社員がライフスタイルの変化に関わらず長く勤めることができる体制は整っています。しかしながら、一定以上のポジションにおいて女性の数が少ないのが現状です。社内のロールモデルが少ない中、どのようにして女性社員が高い意欲を持ちキャリアを構築する後押しができるのか、重要な役職に就く女性社員を継続的に生み出す仕組みをどのように作るのか、多くの課題があります。課長以上の役職者に占める女性の割合の目標を定めるなど、少しずつ対応は進んでいますが、現状はまだ十分とは言えず、さらに努力を重ね取り組む必要があります。

当社はこのようにさまざまな課題に取り組んでいますが、そのような中で社外取締役がなすべきことは、それらの進捗状況について取締役会で繰り返し検証し、実現に向けて執行側の後押しをし続けることだと考えます。

また、グローバルな大きな動きに照らして企業が長期的に対応していかなければならないことや、中長期視点の投資家が重要視し求めていることが何であるかについては、独立した社外取締役の立場のほうがより明確に見えることがあります。そのような社外の主要なステークホルダーの視点を常に経営側にフィードバックし、当社が取り組んできたコーポレートガバナンスの改革を、企業価値の向上に実際に結びつけることに、これからも取り組んでいきます。

独立社外取締役 高山 与志子