トップメッセージ

代表取締役 社長執行役員 小林 喜夫巳

  • 株主・投資家の皆様には、日頃より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。社長に就任してから2年、新しい視点、大胆な発想で当社グループの改革を進める「2017年中期経営計画(2018年3月期~2020年3月期)」は、一定の成果を上げています。
  • 当社はクルマ社会の発展とお客様の豊かなカーライフに貢献するため、日本初のカー用品のワンストップショップとしてオートバックスを開発し、1974年に1号店を出店して以来、一貫して本部、直営店およびFC加盟店から成る事業基盤を発展させてきました。しかし、これから先、想像を超える技術革新や人びとの価値観の変化により、クルマはもちろんのこと、社会や私たちの暮らしも多種多様に変わっていきます。
  • そのような中で、このたび“100年企業”となる2050年に向け、どのような時代を迎えようと社会・クルマ・人の暮らしと向き合い、ステークホルダーの皆様と共に、未来に向かってマーケットを創造し続けたいとの思いを「2050未来共創」というビジョンに託しました。「2017中期経営計画」では、このビジョンのもと、100年企業となるための土台作りに全社一丸となって邁進していきます。株主・投資家の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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2018年3月期の業績について

  • FC加盟店の活性化、国内店舗子会社の収益改善で成果がだせた一年と考えています。

2018年3月期は、日本国内の新車販売台数が2年連続で回復する中、重点的に販売している商品であるタイヤ販売の増加が大きく寄与しました。夏タイヤの値上げに伴う駆け込み需要が発生し、冬場は全国的な降雪によりスタッドレスタイヤやタイヤチェーンの需要が拡大しました。また、危険運転対策として関心の高まったドライブレコーダー販売が前期の2倍近くに達しました。また、FC加盟店の活性化策 が奏功し、国内店舗子会社の収益も大幅に改善しました。

その結果、当社グループの売上高は、前期比3.7%増加の2,116億円、営業利益は同25.0%増加の72億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同79.2%増加の54億円となりました。

当社グループは“100年企業”を目指し、新たなカーライフの提案を積極的に行っていきたいと考えています。しかし、それを実行していくには、何よりもFC加盟店に元気になっていただくことが重要です。それともう1つ、ここ数年来、取り組んでいる国内店舗子会社の収益改善が不可欠です。2017年度はこの2つの課題で大きな成果を上げることができ、「2017中期経営計画」の初年度としても、目標達成に向け順調なスタートであったと考えています。

2018年3月期の連結業績 国内オートバックスチェン店舗売上高(全業態)

これからのクルマ社会と国内オートバックス事業の方向性について

  • どんなクルマ社会にも対応でき、市場を創造する体制構築が重要と考えています。

かつてクルマを持ち、乗っていることは、それだけでステータスでした。2000年頃までは保有台数も右肩上がりに増え、カー用品は、お店に並べればどんどん売れる時代でした。しかし今、日本では高齢化が進み、若者のクルマ離れも指摘されています。実際、この10年で当社グループの会員様の比率は20~30歳代が減り、40歳代以上のファミリー層と高齢層が増えています。また、ガソリン車から電気自動車へのシフト、インターネットとつながってのスマート化、自動運転の開発、技術は凄まじいスピードで進化し、お客様の価値観もますます多様化しています。その一方でシェアリングサービスも普及しはじめています。

確かにクルマ社会は、大きな転換点にあると思います。とはいえ、クルマの平均寿命等から考えて少なくとも今後20~30年は新旧入り混じった価値観の中で、これまで以上にクルマに関する欲求・相談ごとが出てくると思います。まさに私たちの出番です。

そもそも一概にお客様といっても、地域や属性によって求めるサービスも期待することも異なります。例えば、地方に行くとクルマは生活必需品で、若者のクルマ離れという言葉はあたらないと言って良いでしょう。どのように変化するかを画一的に予想することはかえって危険です。それよりどのような変化に対しても、「クルマのことならオートバックス」と信頼・支持され、常に何でも相談できる「プロフェッショナル&フレンドリーな存在」であることが大切であると思っています。

市場を創造していくために

  • 「安心・安全」「体験価値」「自己表現」3つの提供価値で市場を創出していきます。

社長就任以来、私は「プロフェッショナル&フレンドリーな存在」であるとともに、“ワクワク感を取り戻す”と言ってきました。受け身ではなく時代の変化に合わせ、自ら市場を創造していくことがより重要です。その切り口として、オートバックスの提供価値を3つのカテゴリーに整理しました。まずは、「クルマを快適に使いたい」という“安心・安全”に代表される基本的で重要な価値です。これに当たるのは、タイヤや各種メンテナンス商品、車検・安全点検などですが、ドライブレコーダーも含まれます。

次に、「クルマを使って楽しみたい」という“体験価値”です。こちらは、クルマを使ってアウトドアを楽しむシーンを想定したライフスタイル関連商品、ドローン、電動バイクのほか、キャンピングカーも提供します。

最後に、「クルマをもっと楽しみたい」という“自己表現”です。こちらは、クルマに乗って楽しむ、クルマをカスタマイズして楽しむ、そのようにして自己の満足感を高めるモータースポーツ商品、ガレージ商品、レーシングスポーツブランド商品(ARTA)などです。これら3つのカテゴリーを深めていくことで、未来に向かって市場を創出していきたいと考えています。

業態開発の取り組み状況について

  • 日本初の新業態を開発し実験を開始しています。

すでに、クルマに詳しくないお客様もゆったりできるガレージカフェをイメージした「オートバックスガレージ府中」や、ショッピングモールのお客様に車検や洗車の案内を行う「オートバックスMini」の出店などで新たな業態の実験を開始しました。

また、日本初のクルマを通じたライフスタイル提案ブランド「JACK & MARIE」も立ち上げ、国内最大級のファッション系通販サイト「ZOZOTOWN」にて販売を開始したのに続き、オートバックス店舗とは独立した業態として横浜に1号店をオープンしました。車内が楽しくなるアクセサリー、アウトドアでの時間をおしゃれに楽しむ食器・アパレルなど2,000SKUもの商品を取りそろえ、すぐにでもクルマに荷物を積み込んで飛び出したくなるような「コト」消費に着目したライフスタイルを提案しています。

これからは新業態の要素を各地域の既存店舗にどのように組み込み、収益に結びつけていくかが問われるものと認識しています。現在の事業環境からすると、何もしなければカー用品市場そのものがどんどん縮小していきかねません。市場を創造していく上では商品開発に加えて、その売り方や業態の変革は不可欠であると考えています。

商品開発のポイント

  • PB商品とタイヤのラインアップを充実させます。

3つのカテゴリー軸で、そこに合わせた商品開発を加速していきます。具体的には、なるべく一般的なドライバーであるお客様に、迷ったらコレとおすすめできるPB商品「AQ(. オートバックス クオリティ.)」として、定期交換の必要なタイヤ、オイル、バッテリー、ワイパーといった商品のほか、よく使われる洗車用品や小物類を開発し、順次投入していきます。足元では、タイヤの低価格商品の開発に注力しています。併せて、オールシーズンタイヤのニーズも確実に高まっていますので、品ぞろえと販売を強化して市場を育てていく方針です。

また、独自のライフスタイル提案ブランド「JACK & MARIE」から派生したPB商品として、クルマで出掛けるときに役立つグッズや、インテリア、フレグランスを提供する「JKM」、ガレージライフにもこだわりのある方向けの「GORDON MILLER」のアイテムも増やし、お客様に楽しさを提供できるような商品もどんどん開発していきたいと思っています。

競争力の点で必要となる変革について

  • ネットとリアルの融合で、より強みを発揮することで競争力を高めます。

近年はネット販売関連企業など異業種との競争も激しくなっていますが、クルマとの関わり合いでは、カー用品の取り付け、車検やメンテナンスなどアフターサービスの点でもリアル店舗は絶対に欠かせない存在です。とはいえ、これからの時代、ネットビジネスを無視するわけにはいきません。リアルとネットをどのように融合させ、より強みを発揮するかは、競争力を維持していく上で大きなポイントです。

そこで改めてネットビジネスの強化を重要課題の一つとしました。特にタイヤ・ホイールセットや海外で調達する商品を個人、法人の両方に提供できるようなプラットフォームを構築し、お客様層を拡大したいと考えています。さらに、ネットを通じて商品を販売し、当社グループの店舗で取り付ける仕組みも強化していきます。店舗での取り付け予約をしっかり確保することで、ネットとリアルが融合し、店舗における人員配置やオペレーションの効率化にもつながると考えています。

このような仕組みをFC加盟店に広めていくには、店舗でのピットサービスの能力をもっと上げる必要がありますが、この中期経営計画の期間でネットとリアルの融合したプラットフォーム基盤を作り上げたいと考えています。

ネットとリアルの融合

人材確保と育成について

  • 整備士の確保を重点課題として設立した養成機関により、
    プロフェッショナル&フレンドリーな人材を育成を進めています。

当社グループは約1万人の従業員のうち、3,800人が整備士の資格を有していますが、少子高齢化の加速により人手不足が深刻化する中、ピットサービスの能力をさらにアップしていく上では、整備士の確保が大きな課題となります。

そのような状況を見越して2017年3月に、チェン内に派遣する整備士を養成・教育する機関として(株)チェングロウスを設立し、短期で整備士の資格を取得できる仕組みを構築し始めました。また、海外からも技能実習生を整備士として育成し、オートバックス店舗で積極的に受け入れています。特に現地の学校とタイアップしているフィリピンの実習生は2018年3月末現在、120名を超えています。また、自動車整備士にスポットを当て、「プロフェッショナル&フレンドリー」を体現する存在として、全店から選出した整備士を「AUTOBACS GUYS」としてテレビCMに起用するなど、オートバックス店舗で自動車整備士として働くことの誇りを感じてもらう取り組みも行っています。

お客様との確実な接点になる車検販売の推進のポイント

  • 763万人の会員の方へのアプローチを強化しています。

当社グループには年に1回以上、来店いただいている会員数が763万人います。

その数からしますと、車検の実施台数はまだまだ伸びしろが大きいと言えます。そこで、タイヤのパンク、窓ガラスやバンパーキズの修理・交換補償、車検後のお得なメンテナンスなど、安心・安全に関する独自サービスで差別化を図るとともに、車検を受けていただいたお客様から次の車検の予約をいただく活動や来店いただいたお客様への店舗での声掛けなど地道な取り組みを続けています。

2018年3月期は市場の車検対象台数が減少しましたが、2019年3月期は逆に増加するサイクルに入りますので、とりわけ車検販売には注力していく方針で、ピットでの15分受入点検とそれに合わせたオペレーションの研修・教育も強化しています。

将来の成長事業と位置付ける海外事業の進展について

  • 卸売事業を強化し2年後の黒字化を目指します。

海外事業は、ASEAN地域を中心に事業を拡大しています。2018年3月期は、従来のオートバックスの店舗だけでなく、パートナーと組んだ事業が動きだしました。

タイでは、現地の大手ガソリンチェーンであるPTGグループと資本・業務提携し、その敷地にメンテナンスを中心とした小型店舗を出店しました。さらに2019年3月期には20店舗の出店を計画しています。シンガポールでは、既存のガソリンスタンドへの出店に加え、カーシェアリング会社の車両をメンテナンスするサービスを始めたほか、ホームセンターやスーパーへの卸売も開始しました。さらに中国においても、整備工場や洗車場に商品を販売するプラットフォームを構築している「愛車小屋」に出資し、販売先の開拓とともにPB商品の開発を開始しました。

これまでは日本の小売業態を海外に持っていく形での事業展開をしてきましたが、日本市場でNo.1であるオートバックスブランドで売っている商品が高く評価されるようになっています。そこで対象国を広げて、卸売事業強化のためのPB商品開発に注力し、2年後を目処に海外事業の黒字化を目指します。

車買取事業、輸入車ディーラー事業、BtoB事業について

  • 輸入車ディーラー事業が順調に拡大し、車買取事業、BtoB事業は収益構造改革を進めます。

BMWディーラーのM&Aにより参入した輸入車ディーラー事業は、インポーターからの評価も高く、首都圏を中心に面を押さえる形でエリアを拡大しているところです。

資金力だけでなく、店舗でお客様と接してきた経験・ノウハウが生かされ、高評価につながっているのだと思っています。今後は、ディーラー間での在庫や人材の交流な効率性を高める取り組みのほか、オートバックス事業とのシナジーという点では、例えば、接客やピットサービスの質向上のために活用していきたいと考えています。

中古車の買取専門店は、査定を含めオペレーションに精通した人材の配置が難しく、買取に関わるコストも想定を上回っており、計画未達の状況となっています。ただ、オートバックスとしては、車検を受けるか、買い替えるか、手放すかというとき、クルマを買い取ってほしい、新しいクルマを紹介してほしい、というお客様のニーズにはお応えしたいです。しかし、そこにコストを掛けすぎて利益が出ないという状況は改善しなければなりません。そこで、セグメントとしては2019年3月期から国内オートバックス事業に移管し、不採算店の退店を含め収益改善に努めるとともに、FC加盟法人が運営するオートバックス店舗の敷地内において投資やコストを抑えながら運営するモデルにしていきます。

BtoB事業は、ホームセンターなどのお客様が増えてきましたが、こちらも物流経費や仕入コストが収益を圧迫しています。そこで、売れ筋商品や高採算商品への入れ替えを進めるとともに、利益が出ない取引についてはお客様と条件の見直しを進めていきます。

最後に2019年3月期の業績見通しと今後の抱負

  • FC加盟店の活性化を一過性に終わらせず、増収増益を目指します。

最初に申し上げたとおり、FC加盟店が元気になることに集中した成果が表れてきています。2019年3月期はFC加盟店の活性化として、もっとお客様に向けた変革を行っていきたいと考えています。具体的には、タイヤ、車検の販売強化に加えて、店舗のリノベーションに注力します。店舗リノベーションは単なる改装ではなく、お客様に向けた3つの提供価値に基づく商品の展開に加え、お客様に気持ち良くお買物をしていただくための接客・オペレーションを強化します。一方、本部では、商品開発、エリアにおける店舗最適化・統廃合、さらに、国内店舗子会社の収益改善を継続していきます。また、ネットとリアルを融合させたプラットフォームの構築を重点施策として推進していきます。海外では卸売の拡大に注力してまいります。

以上のような取り組みのもと、2019年3月期の売上高は前期比1.6%増加の2,150億円、営業利益は同23.6%増加の90億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同25.8%増加の68億円を予想しています。

2017年中期経営計画