新たなお客様と向き合う挑戦

オートバックスセブンは1947年の創業以来、カー用品の販売と取付、車検・整備など、個人のお客様のカーライフを支えるサービスを提供するオートバックスをフランチャイズ展開し、国内オートバックス事業を主力事業としています。

長年個人のお客様に向き合ってきた当社は、新たなお客様を探し続け、BtoB事業としては以前よりホームセンターなどの法人を対象とした卸売ビジネスを行ってきました。今回はそのBtoB事業の中でも新たな一歩を踏み出した法人取引のひとつ、クルマを所有する法人への大口の商品販売、取付やメンテナンスなどの取引を行うフリートビジネスの挑戦をご紹介します。

オートバックス店舗での実績を、法人取引に生かす

当社は、これまでオートバックスの店舗にご来店されていたお客様だけではなく、まったく新しいお客様からニーズを引き出し提供するという挑戦に、今現在も奔走しています。

法人取引とフリートビジネスを始めるきっかけ

営業車や役員車など、移動手段として社有車を所有する法人は多く、現代の日本ではビジネスにおいてクルマは欠かせない存在です。

当初BtoB事業では、法人取引として社有車などを保有している法人の事業所などから要望があり、商品や取付の大口注文を受ける窓口をしていました。ただ、そのような取引を続けていくにつれて『社有車を一括してメンテナンスしてくれるサービスはないのか?』という声が増えていき、社有車メンテナンスを一括で行う業者が少なく困っている法人が多いということが分かりました。会社として、そのようなニーズが明らかなサービスを進めない手はないと、フリートビジネスとして動き始めたのがきっかけです。

全国展開しているオートバックスならではの利便性

全国に拠点を構える法人にとって、全国どこでも均一のクオリティでサービスが提供され、かつ契約や金銭のやり取りを一括で行える整備事業者を探すのは非常に困難だと言います。

当社では法人から商品購入・取付のご要望をいただいて、事業所のエリアに応じて最寄りのオートバックス店舗を提案し、作業当日に取り付けを行うクルマをその店舗に持ってきていただく方法をとっています。このような法人の業務効率向上に寄与できるサービスを提供することにより、Webからの合わせ件数は前年比で3倍に増えました。

店舗運営で得た知識を生かした商品提案

現代において欠かせなくなったネット販売。しかし、カー用品はクルマやお客様の安全に大きく関わる商品であるために、ネット販売だけでは解決できない部分も多く、専門的な知識や技術が必要になります。カー用品の取り付けに関しては、自信を持ってサービス提供ができる会社が少ないのが現実です。

 

その点、当社では、国内オートバックス事業で培ってきたカー用品に関する知識や蓄積された豊富なデータにより、ニーズより一歩踏み込んだ提案ができることも強みとしています。ご希望の商品の見積を出す前に、商品を購入するに至る原因や目的などを伺い、よりニーズに合った商品や一緒に購入していただくことでより便利になる商品などをご提案しています。今は電話やメールでの問い合わせをいただくことが多いですが、お客様の不安を取り除くためには相談や見積の段階でも直接顔を合わせて説明をすることも多々あります。

フリートビジネスの仕組みづくりへの挑戦

ここからは、BtoBビジネスが本格的に始動した当初から法人取引に携わってきたフリートビジネス推進部の渡邊 悟志に今後の展望について話を聞きました。

目標はオートバックスチェン以外への商品販売の仕組みを最適化すること

これまで当社から商品を卸していた先は、全国のオートバックスフランチャイズチェン(FC)加盟法人です。長い歳月をかけて構築してきた国内オートバックス事業における物流システムは、チェン内でのみ使うことを想定して効率化されていたこともあり、BtoB事業を始めた当初は、全国に営業所があるような法人に対し商品を直接販売する仕組みがありませんでした。

渡邊はBtoBビジネスが発足した当時のことをこう語ります。「自社のロジスティックスセンターから、他社への物流や商流はどうしたらいいのか?という疑問から話は始まりました。流通管理、IT、経理や国内オートバックス事業に関わる部署など、その他にもたくさんの部署を巻き込み、仲間を集め、さまざまな視点で話し合いをして、一つひとつ問題を解決していきました。疑問から構想し、1年くらいかけてやっと現在の運用方法に落ち着きました。しかし、現状には満足していません。日々最適化を求めて仕組みづくりをしています」。

店舗との連携でスムーズな商品販売・取付を行う

フリートビジネスは前述の通り、今現在は商品販売・取付というニーズに応えています。取り付けは全国のオートバックス店舗で行うため、FC加盟法人の協力が必須です。

「受け入れのお願いをする機会が増えたため、お店とのつながりがより強くなったと感じます。個々のFC加盟法人やお店の理解を得られないとできないビジネスなので、お客様はもちろん、チェン内でのつながりを今後も大切にしていきたいです」と渡邊は言います。

法人のお客様にもっと幅広いサービスを提供したい

社有車のメンテナンスもオートバックスで

現在、当社のフリートビジネスは、購入していただいたドライブレコーダーやETC・カーナビゲ―ションなどのカー用品の法人所有車への取り付けがメインです。しかし、近い将来車検や日々のメンテナンスもオートバックスで一括してお任せいただけるようになることを目標としています。車検・整備に関しては、店舗で見積をとるために作業の前に一度ご来店いただく必要があるなど、越えなくてはいけない課題があります。

スポットで発生するタイヤ・ホイールのセット販売などは既に行っていますが、もっと短いスパンでメンテナンスが必要となるオイルやバッテリーの交換、車検・整備なども同様に行えるよう、今は仕組みづくりを進めています。

実際、タイヤ交換を行った法人からタイヤ以外のメンテナンスのご用命も増えており、ここをクリアし、さらに多くのお客様とつながることが第一のミッションだと考えています。

今後のフリートビジネスの展望

フリートビジネスは、当社として未開の領域が多く、法人のニーズに対応できるものがまだまだたくさんあります。お客様が最初存在すら知らなかったような商品やサービスを認知してもらい『それいいね』『相談して良かった』と言っていただけることが私たちの存在価値の一つでもあります。

今後は、当社の主軸であるオートバックス事業とは異なる大きな軸となり、次期成長のカギを握る事業に発展させるべく進めていきます。

これまで商品の仕入先からするとクライアントの立場だったオートバックスセブンが、今度は商品の提案をしに法人に伝えていく必要があります。まったくの新しい立場で考える能力・意欲を試されるフリートビジネスの挑戦はこれからも続きます。