当社は「女性が働きやすい会社は皆が働きやすい会社」という視点で、結婚、出産、育児など多様なライフイベントを経ても女性が働きやすい環境の整備に努めてまいりました。
これは現在、女性だけに限らず男性においても同様に多様なライフスタイルに応じ、育児休業制度を利用することができます。
当社の育児休業制度については、子の1歳の誕生日から1歳6か月を超えて最初に到来する3月31日、または2歳に達するまでの間で必要な日数を延長可能とし、短時間勤務制度(時短勤務)の適用をについては、子が12歳になる年度末まで(法定では3歳まで)としています。法定より高い水準で制度を整え、個々のライフスタイル・ライフステージに応じて選択肢を増やし、働きやすい環境づくりを行っています。(2020年6月時点)
さらに、2019年からの「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画(https://www.autobacs.co.jp/en/sustainability/society/working/plan.html)」では、“男性の育児休業取得 年1名以上、子育て目的の休暇5日取得率70%以上”を目標のひとつに掲げ、女性従業員だけでなく男性従業員も柔軟な働き方を実現できるよう支援を進めています。
このような制度整備の結果、女性従業員の育休取得率は、制度発足以来100%と高い水準を維持しています。多くの女性従業員が、子育てしながら働き続けられる環境が整っていることの表れと考えています。
多様な働き方のひとつとして、男性の育児休業取得を推進
日本でも男性の育児休業取得者は上昇傾向にあるとはいえ、女性82.2%に対し、男性は6.16%(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html、2018年度)と低く、フィンランドやノルウェーなどの北欧の男性取得率が90%近くにのぼることと比較しても、かなりの差があるのが現状です。
そのような中、当社の2019年度における男性社員の1か月以上育児休業取得率は7.69%と平均よりも高く、1年以上の長期に渡り育児休業を取得する従業員も出てきました。今回は、従業員が仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を図りながら、能力を最大限に発揮できる働きやすい環境づくりについてご紹介します。
女性にとって働きやすい環境の整備はもちろん、従業員の8割以上を占める男性従業員にも、ワークライフバランスを推進してきました。しかし、育児休業制度があっても、男性従業員の取得率が少ないという課題もあります。そこで、配偶者が出産した男性従業員が取得できる「子育て目的の休暇」を5日に増やしました。また、2019年度からは取得を推奨したことにより、子育て目的の休暇取得率は61.54%となりました。育児休業を1か月以上取得する男性従業員は、2018年度2人、2019年度2人と定着しつつあり、さらに2019年度には1年以上の長期で育休を取得する男性従業員も出てきています。
男性従業員の子育て目的の休暇取得(2019年度実績)
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1年以上に渡り、育児休業を取得した男性従業員へのインタビュー
2019年4月より1年以上の育児休業を取得した男性従業員西垣 拓也さんに、経緯や周囲の反応、個人としての気づきや今後の働き方についてインタビューしました。
西垣さん:妊娠が判明した段階から夫婦で少しずつ話をして、お互いの両親とも相談した上で、最終的に私が育児休暇を取得することを決めました。
同じ会社に勤める妻は、商品開発の部署で仕事を継続したいという意志が強くありました。妻は、夫婦での育児休業について人事担当者に相談していたようです。母乳育児が終わったら、夫の私に育児をお願いしたいと話し合いを重ねていました。
正直はじめは、育児休業を取らなくて済むならそれでいいと思っていたのですが、子どもと少しでも長くいたいという気持ちもあり、育児を私がするという選択肢は考えていました。
また、世の中の働き方が変化しつつあることを感じていたのか、私の父親が男性の育休取得に理解があったことも後押しになりました。
子どもが生後半年になる2019年4月に育児休業を取得しましたが、保育園に入れるようになるまで、私が中心となって子育てをするつもりです。
西垣さん:上司に伝えるときは、反対されるかも……と思っていましたが、驚かれたものの快諾し、応援してくれました。年1回の定期人事異動と同じタイミングで育休に入るスケジュールだったので、他の異動される方と同様に1か月かけて業務の引継ぎをすることができました。大きなトラブルもなく育休に入ることができ、周りの方には本当に感謝しています。
西垣さん:育休取得してはじめの4か月は、眠れないなどといった肉体的な苦労はあったものの、夫婦で育休取得していたこともあり、そこまで大変さを感じませんでした。子どもが1歳近くになり、妻が復職してからが大変で、子どもと遊んでいる中で、いろいろな反応をするようになった分、対応に戸惑うことも多々あり、大人のように、会話でコミュニケーションが取れないということに苦労しました。
西垣さん:家事・育児は私が担当しているのですが、掃除や洗濯はできるものの、実は料理はできず苦戦しました。練習をして少しはできるようになりましたが、無理のない範囲で市販品の離乳食も併用しました。子育ては長いので、適度にこなしていくことも大切だと思いました。私は、ラクできるところはラクする性格なので、こういう点は育児に向いているのかな、とも思います。
西垣さん:自分の経験から、産後1か月くらいの女性がまだ体力的、精神的につらいときなどに、夫や両親のサポートを必要とするなら育児休業を取ったほうがいいと思います。期間については、個別の事情もあるし性格的な向き不向きもあります。子どもにとっていい形になるよう、夫婦で都度話し合っていくのがいいと感じました。
西垣さん:子どもが生まれてからは、子ども向けのおもちゃ屋などに行く機会が増えました。今まで働いていた店舗でも子ども向け商品を取り扱っていましたが、子どもを通してみると、おもちゃや、売場に工夫があり、いろいろな気付きがありました。今後この経験を、どう会社に貢献していくか模索していきます。
また、男女問わず、育児・仕事を両立することの大変さを身をもって経験できたことで、今後同じような環境の人を理解し共感できることで、働きやすい環境づくりに貢献できるのではないかと思います。そのひとつとして私が1年以上育休を取得したという実績が、後に続く人の選択肢になればと思います。
多様性を受容できる、柔軟な制度づくり
当社では、従業員一人ひとりの事情によって、最適な働き方を選択できるような制度づくりを進めています。
現時点の日本においては、「男性」が育休を取得することが、まだ特別なことと捉えられがちですが、変化の大きい社会において、誰もが柔軟に働ける環境は、企業がより持続的に成長していくためには不可欠です。近い将来には当たり前のこととして、受け止められる企業となり、社会に拡がっていくように、当社の挑戦は続きます。