海外での小売事業から卸売事業への挑戦

オートバックスセブンの海外ビジネスの歴史は長く、90年代前半から店舗出店と日本国内向けのプライベートブランド(以下、PB)商品の製造・調達をしています。小売事業において、現在はフランス、台湾、タイ、シンガポール、マレーシアなどに計47の店舗を展開しており、年々海外の小売店舗は増加傾向にあります。(2019年5月末現在)

オートバックス カリマラン店(インドネシア)
2018年12月14日 オープン

オートバックス リブドゥアン ラミントラ店(タイ)
2019年1月25日 オープン

オートバックス サイマイ店(タイ)
2019年4月5日 オープン

オートバックスセブンの海外ビジネスは、これまでの小売事業に加えて、新たな事業の柱を立てるべく卸売事業をスタートしました。

オートバックスは今、世界の各地域で商品開発を進め、国を超えてその販路を拡大中です。2017年9月にシンガポールのハイパーマーケットへ商品を供給したことから始まり、その他ASEAN地域やロシア、オーストラリアなどへ展開を広めています。

「卸」という海外での新たな事業の柱

海外で卸売事業をスタートさせるまでの困難や、その挑戦の先にある目標などを、約四半世紀にわたり海外事業推進部に在籍し、そのビジネスの移り変わりを目の前で見てきた鈴木 立太郎に聞きました。

卸売事業スタートへの第一歩

「現地のスーパーマーケットに商品を販売したのが卸売事業の始まりでした。当時は、外部からの海外小売やM&Aのスペシャリストが多く、海外の事情をよく知っているからか、『(海外で卸売業をやっても)絶対に上手くいかない』と反対意見も出ました。しかし、海外のスーパーマーケットの陳列棚を分析したところ、お客様目線になっていない、分かりづらい棚だったことが分かりました。そこから商品陳列などを変えて当社の商品を販売できないか提案したところ、現地の会社にもその案が受け入れられやってみることになったのです。口で言うのは簡単ですが、周りや卸売先を説得し、GOサインが出るまで1年もかかりました」と当時を振り返ります。

オートバックスならではのお客様目線“CONSULTANT WHOLESALE”

海外でのカー用品卸売業界は競合も多いです。他社との差別化のため、商品を店に販売して終わりという商売ではなく、関連商品を近くに設置し、お客様が必要なものを探しやすくしたり、ついで買いを誘うような陳列方法や、その商品ごとに効果的なPOPなどを提案する“CONSULTANT WHOLESALE(コンサルタントホールセール)”を行っています。

「日本で45年近くオートバックスの店舗を運営しているので、そこで得た経験とノウハウでお客様の目線の売場提案を行うことができるのが強みです」と鈴木は語ります。

今ではシンガポール、インドネシアやタイのコンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの店舗に、当社が提案した商品と共に陳列方法が採用されています。

オリジナル商品開発による差別化

商品の陳列方法や、商品を棚ごと提案するという手法で海外でのマーケットを広げましたが、数ある競合によりその手法も模倣され始めたことから、他が真似できないオリジナル商品の開発に視野を向けました。

ASEAN地域ではクルマをメンテナンスしながら長く大切に乗るというスタイルが主流になりつつあるため、クルマのメンテナンスに関わる商品(エンジンオイルやバッテリー、ワイパーなど)の開発をメインに行っています。

「今は“ジャパンクオリティ”という日本製品に対する安心感・信頼感から、当社の商品を手に取られることが多いと思います。例えば、エンジンオイル。実は缶で販売をしているのは日本くらいで、他の国ではプラスチック容器が主流です。容器やパッケージ一つとっても、缶に入っている=日本製=安全、などのイメージをうまく生かして、他社製品との差別化を図っています」と鈴木は言います。

「店舗」から「ショールーム」への進化

海外における小売事業では店舗展開することでオートバックスの認知度を高め、卸売事業においては、オートバックスブランドの商品によって、その名を広めていく方針です。

「考え方としては、オートバックスブランドを扱っているホームセンターやスーパーマーケットなどの店舗は、その一角にオートバックスの『ショールーム』があるようなものです。今はこのショールームを増やし、オートバックスとしてのブランド認知を向上させるためのフェーズに差し掛かっています。卸売と商品開発を進め、ショールームと連携させることで、全世界に拡販させます」

オーストラリアで扱っているカー用品一例

もっとたくさんの国の人に「オートバックス」を知ってもらいたい

スピーディーに市場開拓を行っているように見える海外ビジネスですが、「正直、海外に行ったらまだまだ消費者はオートバックスの名を知りません」と鈴木は言います。

「業界の人間にはだんだんと浸透してきていますが、消費者にはまだ伝わっていないのが実態です。現地の販売店に商品を置いてもらうところまでは成功していますが、今度はその商品を消費者に手に取ってもらうのがカギになります。全世界の人に『クルマのことならオートバックス』と知っていただくのが目標であり、そのために日々挑戦を続けています」と笑顔で語りました。

 

世界には、クルマのアフターマーケットがこれから伸びるとされている国が数多くあります。

全世界のお客様に最適なカーライフを提案し、豊かで健全な車社会を創造するためのチャレンジは続きます。