2021年10月に法人向けサービスの新規事業として、クラウド管理型アルコールチェッカー「ALCクラウド」のサービスを開始しました。急激に変化する社会環境の中でローンチしたサービスの開発秘話、担当者の思い、今後の展望をお伝えします。

 

サービスを開始した2021年は、6月に千葉県八街市で飲酒運転のトラックが通学途中の児童の列に突っ込み5人が死傷するという痛ましい事故が起きた年でした。この事故をきっかけに、白ナンバーを含む社用車を保有する事業者を対象にしたアルコールチェックの義務化への動きが強くなり、2023年12月よりアルコール検知器を用いた酒気帯び確認の義務化がスタートしています。

サービス立ち上げのきっかけ

2020年に新たな事業を模索する中で、「安全運転管理者(※)」に対して社用車管理やアルコールチェックに関するニーズについてリサーチを行いました。その中で安全運転管理者が抱える課題として、コンプライアンス対応やリスク管理の強化など、さまざまなものが見えてきました。

 

※安全運転管理者(副安全運転管理者)とは

道路交通法に基づき、一定以上の台数の自家用自動車を保有する事業所において、運行計画や運転日誌の作成、安全運転の指導を行う者。年一回の講習参加が義務付けられている。なお、事業用自動車については、運行管理者制度がある。

<マーケティング調査結果(当社調べ)>

実施月:2021年6月

方法:定量Webアンケート

回答者:車を業務利用する事業者(n=27,275⇒有効回答1,167 : 181万事業所に拡大推計)

 

【コロナ禍の変化についての質問】

  • コロナ禍に社用車での直行直帰が増加したと回答した事業所:全体の29%(52万事業所)
  • コロナ禍にマイカー利用が増加したと回答した事業所:全体の19%(34万事業所)
  • アルコールチェックが経営課題に入っていると回答した事業所:全体の30%(54万事業所)

 

【アルコールチェッカーに求めるもので多かった意見】(複数回答)

  • メンテナンスコストが不要である 36.7%
  • 小型で持ち運びが可能なもの 32.5%
  • 安価なもの 32.5%
  • 耐久性に優れている 31.8%
  • 成分分析が正確であること 29%

上位5つまでには入りませんでしたが、スマホと連携可能なものという要望も18.4%ありました。

このアンケートにより、特に「デバイスを使った遠隔での車両管理」、「免許証不携帯・酒気帯び運転の管理」などのニーズが高いことから、オンラインをベースとした法人向けのソリューションビジネスの構築がスタートしました。

コロナ禍によるパラダイムシフト

この頃、コロナ禍の影響で働き方改革が進み、「リモートワーク」、「直行直帰」、「マイカー業務利用」などの勤務形態の多様化や、外出自粛による「宅飲み」が増加。勤怠・労務などの管理においても多くの課題が生まれました。特に「宅飲み」は、自宅で長時間飲酒をしてしまう機会が増え、飲酒運転の検挙の多い時間帯が深夜から朝に変化するなど、社会的にも大きな問題として捉えられるようになりました。

 

 

当社は、自動車業界の一端を担う企業として、「社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現」を目指し、クルマに乗るすべての人に安全と安心を提供すべく、法人向けのソリューションビジネスに取り組んでいます。かねてより「飲酒運転の根絶」へ強い想いを持っており、『会社を守り、従業員を守り、その家族を守る』安全運転管理者をサポートすることも私たちのミッションであると考え、アルコールチェックサービス「ALCクラウド」の開発を開始しました。

使う人、選ぶ人の立場に立って開発する

「ALCクラウド」は、クラウド管理型のアルコールチェックサービスです。サービスの構築にあたり、実証実験として社内約220台の社用車にテスト導入し、従業員によるアルコールチェックを実施しました。

直行直帰や、出張先での業務利用などさまざまなパターンのデータを蓄積し、トラブルシューティングを繰り返しながら、精度の高いサービスへブラッシュアップさせ、2021年10月に遠隔で飲酒運転の有無を確認できるアルコールチェックサービス「ALCクラウド」を販売開始しました。

■ALCクラウド/アルコールチェッカーの特徴

https://www.fleetguide.jp/alc/

  • スマートフォンで専用バーコードを読み取るだけで、簡単にBluetooth接続
  • 測定時に顔写真撮影でなりすましを防止
  • 測定後3秒で安全運転管理者へ送信され、リアルタイムで承認状況を相互確認できる

2024年1月現在、ALCクラウドを利用いただいている企業のうち約35%が建設事業者様で、簡単な操作性と携帯しやすい形状やデザインが特に好評をいただいています。

安全運転管理者を包括的にサポート

道路交通法の改正に伴いアルコールチェックだけでなく、安全運転管理者の管理項目もさらに厳しくなり、安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則も厳格化されました。そこで安全運転管理者の業務をさらに手厚くサポートするために、2023年7月に社用車管理システム「FLEETGUIDE」をリリース。運転日報や運行管理、車両のメンテナンス記録や車検満了日などを一括管理でき、安全運転管理者を包括的にサポートできるようになりました。

■FLEETGUIDEとは

運転日報や運行管理、車両の点検・整備といった安全運転管理業務の必要項目のすべてをクラウド上で一括管理できる法人向け社用車管理システム。スマートフォンアプリやPCで運転日報や運行管理、車検満了日などを一括管理でき、車両のメンテナンス記録や消耗品などの次回交換時期のリマインド設定も可能。社用車管理業務の負担を軽減し、ALCクラウドと連携すると運転前後の点呼記録とアルコールチェック結果を管理画面で確認することができます。

 

「ALCクラウド」および「FLEETGUIDE」の開発に携わったオンラインアライアンス事業開発部 課長の江田さんにサービスの詳細を伺いました。

■ALCクラウドの強み

他社サービスと圧倒的な違いは、「クルマ・整備のプロであるオートバックスが展開しているサービスであること」だと自負しています。サービス自体はクラウドですが、サービスの導入・管理・運用・サポートまでクルマや整備の知識を持つ当社スタッフが、お客様に合わせた最適なプランを一緒に検討し、導入後も一貫して対応いたします。

 

また、安全運転管理業務をさらに幅広くサポートする「FLEETGUIDE」においては、社用車管理だけでなく、整備やメンテナンス対応など店舗との連携を活かし、包括的に安全運転をサポートする体制が整っています。

 

 

これらはすべて「安全運転管理者に寄り添うサービスを提供したい」という思いから生まれています。安全運転管理者の義務を全うする上で大切なことは、「アルコールチェックを実施することだけではなく、その結果を事業者が承認していることを確実に記録に残していくこと」だと考えています。機器やサービスを選ぶ管理者はオフィス内勤の方が多く、実際に業務でクルマに乗りアルコールチェッカーを使用するのは別の従業員という場合が多いので、管理者と使用者のどちらにとっても日々の業務に取り入れやすく、導入後も習慣化し、継続できることを第一に考えた設計にしています。

 

リリース後も利用者の皆様の声をお聞きしながらシステムの改良・改善を繰り返し行うことで、従業員約800名で30拠点の企業様に一斉導入いただいた際にも、特に混乱もなく、「使用方法が分からない」などのクレームは1件もありませんでした。これはどんな年齢でも、どんな立場の人でも使いやすい操作性にこだわった結果だと思っています。

・調査日時:2022年12月9日~23日  ・当社サービスのご利用のお客様_95社  ・出展:(株)オートバックスセブン調べ

■今後の展望

ALCクラウドの存在価値は、遠隔でドライバーと管理者が国の指針に基づいた安全運転管理の運営が簡単にできることです。今後は長距離ドライバーや夜間勤務など、管理者の対応が難しい場合の電話点呼代理対応サービスなども検討しています。

また、全国のオートバックスグループ店舗での車検やメンテナンス、安全点検など、オートバックスだからこそできる包括的な「企業の安全運転管理者のトータルサポート」を行っていきたいと考えています。

「一般のお客様の自家用車だけではなく、法人の社用車もオートバックス」と思っていただけるサービスを目指し、オンラインで人とクルマと企業をつなぎ、確かな安全・安心を提供できるよう挑戦し続けていきます。

■ALCクラウド 

https://www.fleetguide.jp/alc/