当社は、2017年10月に北九州市で実施したIoT技術を活用した高齢者見守りサービスの実証実験を皮切りに、クルマに関することだけに限らない「安心・安全」を基軸とした、介護福祉や地域防災、農業支援、環境保全など、さまざまな分野に対応したサービスを展開しています。

今回は、その中の取り組みの一つである、地域課題に関する取り組みについて紹介します。

◆地域課題の解決と活性化に貢献

 

2019年3月より、大分県と地域活性化に関する包括連携協定を結び、「交通安全・地域交通」「介護福祉分野における移動支援・生活支援」「観光振興」「地域防災」「女性活躍推進・青少年の育成」など、8つの分野において大分県民のニーズに基づくサービスを提供し、県民生活の豊かさを追求しています。

これまでの活動では、大分空港と大分市方面を結ぶ主要な道路上の濃霧による交通面・観光面での大きな課題に対し、5Gを活用し濃霧の中でも安全に走行できる運転補助システムの確立に向けた実証実験※1を行いました。また、障がいを持つ方が地域社会に関わり、就労、自律的な生活を支援するために、今後、増加が見込まれるドローン機体のメンテナンスを専門に行う子会社を設立する※2など、さまざまな活動を通じて地域課題の解決に向けた活動を行っています。

◆日本初! 公立高校へ常駐し、ICT技術に関するラボを開設

 

2020年4月からは、大分県立情報科学高等学校の校内にICT(情報通信技術 / Information and Communication Technologyに関するラボ(研究室)を開設しました。日本では初めての取り組みとなる、民間企業が公立高校に「常駐」し、1年を通じて地域課題解決型の授業を支援しています。また、ラボは「WEAR+i(ウェア アイ)コミュラボ」と名付け、当社が展開するWEAR+iサービスを体験できるエリアを常設し、生徒がいつでも最新のICT機器や技術に触れることができる場を提供しています。

◆大分県立情報科学高校と連携をスタート

 

大分県立情報科学高校は、1988年4月に開校した商業科の情報管理科と情報経営科、工業科の情報電子科の3学科をもつ高等学校です。大分県では、この高校をより先進的な学校にしていきたいという考えに基づき、「女性活躍推進・青少年の育成」という共通の目標に向けて、当社との連携と、その取り組みがスタートしました。

当社が行う授業の1つは、3年生の課題研究(情報管理科・情報経営科)選択として行われますが、教科書がなく、授業内容やスケジュールを決めるところから始まりました。苦労したのは「生徒の評価」です。通常の授業には、授業科目ごとに評価のガイドラインがあり成績が決まるのですが、当社が行う授業は前例がないため、評価ガイドラインについて、指導担当の先生方をはじめ、教育委員会と協議をしながら進めています。

◆グループで話し合い、課題発見力を養う


実際の授業では、数名でグループをつくり、グループメンバー自らが身の回りの課題を見つけグループディスカッションを繰り返し、解決策を練ります。最終的にプレゼンテーション資料の作成やプレゼンテーションの手法を学び、クラスメイトや先生方の前で発表します。ここで私たちが大切にしていることは、「課題発見力」を養うことです。与えられた課題に取り組む従来の教育から、生徒たちが主体となって課題を考えることを目的とした授業形式とすることで、これからの社会を担っていく人材育成に貢献したいと考えています。

授業開始から半年が経過した現在では、最初のころとは違い、生徒たち自ら意見を発信する力がついてきています。課題発表会では、自分たちの提案をプレゼンテーションする機会があり、そのような場でも臆することなくチャレンジできている状況を見て、その成長に、生徒を指導している当社の担当者も驚かされたと言います。

授業は「アイデアソン」(“アイデア”と”マラソン“を掛け合わせた造語。特定のテーマについてグループでのディスカッションを通じ、新しいアイデアをつくり出すことを指す)の形式で行い、ある班では「ゴミの処理」に関する問題を課題としてディスカッションを行いました。「投票式ゴミ箱」として、アンケートやクイズ形式で受け口を分け、自分の答えや正解と思う受け口にゴミを捨てると点数が表示される新たな仕組みのゴミ箱の提案があり、ゴミ箱に捨てることを楽しくするという考えは、生徒たちの柔軟な発想力が感じられました。他にも「IT機器を活用した新しい学びのカタチ」、「ICタグを活用した子どもの見守り&事故防止システム」、「AI機能搭載、センサー付きスムージー自販機」などのアイデア発表がありました。

◆県内企業と連携・協業して課題解決に挑戦


2020年7月には大分県の取り組みで『OITA TECH WAVE』(県民や民間事業者が主体となって課題解決に取り組む「シビックテック」を推進する事業)に協力し、当社の授業から各グループがアイデアを出し、企業に向けてプレゼンテーションを行いました。その結果1つの案件が採用され、地元企業と協業してサービス化に向けて懸命に取り組んでいます。この取り組みで選ばれた案件はもちろん、その他の案件についても、授業を通じてフォローしていきます。

◆日本初!「ドローンサッカー愛好会」創設


当社は授業だけでなく、部活動に関しても支援を行っています。大分県立情報科学高等学校には日本初の「ドローンサッカー愛好会」ができました。ドローンは現在、飛ばして空撮を楽しむだけではなく、インフラの点検や測量、農薬散布など、ビジネスの場でも活用が進んでいます。部活動ではドローンサッカーの競技力の向上はもちろん、ドローンの操縦技術や構造の基礎を学び、操縦するだけではなく、本体の整備やその活用方法まで考えながら活動しています。

◆成長を感じた! 進路が変わった! 生徒たちからは好評です。

 

この取り組みを通じ、対話力が成長したという生徒や、AIなどの先進技術を学び、触れることで、自身の進路が変わったという生徒も出てきました。大分県立情報科学高校と当社のチャレンジはまだまだ始まったばかりです。今年入学してきた1年生が卒業するころには、この取り組みによって高い評価が得られるように試行錯誤を重ね、ブラッシュアップしていきたいと考えています。また、この課題解決型授業は、他の高校や中学校でもスポットにて授業を行っています。来年度以降、さらに他の学校でも授業を展開したり、まだ1校しかない「ドローンサッカー愛好会」を広めたりすることで、大分県内の高校生を中心に、次世代を担っていく人材を育成する、その一助となればと考えています。