「新しいカーライフ文化を創造し続ける」という使命のもと、
お客様に3つの価値を提供し、持続的な成長を目指します。

 

代表取締役 社長執行役員 小林 喜夫巳

株主・投資家の皆様には、日頃より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。


当社グループは、将来にわたって提供すべき価値を「クルマを快適に使いたい(安心・安全)」という価値の提供、「クルマで出かけて楽しみたい(体験・発見)」という価値の提供、「好きなクルマでもっと自分らしく(自己表現)」という価値の提供、これらの車に関する根源的な3つの価値を提供するために、新商品開発、新業態開発に取り組むとともに、お客様にご利用いただきやすい店舗への改装や運営オペレーションの改善、整備士をはじめとした人材育成に注力し、市場における競争力を高めています。

 

当社グループでは、これらの取り組みを進化させるため、5年間の当社グループの方向性を示す「5ヵ年ローリングプラン」を2019年に策定しました。本プランでは、将来の大きな変化の中でも、新たな成長機会を獲得できるようにし、さらには新しいカーライフ文化の創造につながることがを目指して毎年見直しを行いながら進めていきます。
今後とも、皆様の一層のご支援とご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 

トップインタビュー

Q. 当社グループを取り巻く事業環境について

A. 目まぐるしい変化に対応するために「5ヵ年ローリングプラン」を推進しています。

当社を取り巻く事業環境は大きな変化が起きています。自動車の運転支援機能や自動運転の技術開発、電気自動車の普及といった大きなトレンドと、それに伴い施行される自動車整備制度への対応が必須であり、シェアリングサービスやサブスクリプションなど、新たなサービスの急速な拡大とそれに伴うITプラットフォームの整備も求められます。

また、同業他社やディーラー、ネット販売関連企業など異業種との競争が激化するだけでなく、個人間取引といった取引形態の領域も拡大しており、さらに、少子高齢化による顧客構成の変化、ニーズの多様化など、市場は今後も大きく急速に変化するものと予想されます。


当社グループはこのような事業環境の目まぐるしい変化に対応すべく、2019年に「5ヵ年ローリングプラン」を策定しました。
この「5ヵ年ローリングプラン」は6つのネットワークの確立と連携に向けて目標を定め、一年ごとに見直しを行いながら実施していきます。具体的には、お客様がクルマを利用するシーンに合ったサービスを提供するため、「カー用品販売ネットワーク」「最適なサービスを提供するピットのみのネットワーク」「次世代技術に対応する整備ネットワーク」「マルチディーラーネットワーク」「海外におけるアライアンスネットワーク」「お客様とのリレーションを高めるオンラインネットワーク」という6つのネットワークの確立と連携による中長期的な成長実現を目指しています。

Q. 2020年3月期の業績について

A. 安全運転意識の高まりなどから国内事業が好調に推移しています。

「5ヵ年ローリングプラン」の初年度となる2020年3月期は、安全運転意識の高まりや、2019年10月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要などを背景に、国内オートバックス事業が好調に推移したことから、売上高が前期比3.5%増加の2,214億円、営業利益は同1.4%増加の75億円と増収増益となりました。固定資産の減損損失を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益については同31.4%減少の37億円でした。

セグメント別に見ますと、国内オートバックス事業では、フランチャイズチェン加盟法人の株式を取得し、連結子会社化したことなどにより、売上高は前期比0.2%の増加となりました。当期においては消費税率引き上げ前の駆け込み需要に加えて、タイヤメーカーからの仕入れ価格引き上げに伴うタイヤ価格の値上げにより駆け込み需要が発生しました。販売面で
は、記録的な暖冬によりタイヤは前年割れとなったものの、2019年8月以降のあおり運転報道などを受けて、ドライブレコーダーの販売が引き続き伸長しました。

海外事業の売上高は、不採算の小売事業を縮小し、収益性の高い卸売事業に注力しました。地域別に見ますと、タイでは新規出店に加えて、同国でガソリンスタンド拠点数第2位のPTGグループのガソリンスタンドモールへ小型店を出店し、伸長しました。また、シンガポールにおいて、板金・塗装および整備を行うSK AUTOMOBILE社の株式を取得し、連結対象子会社にしています。一方で、フランスでは、店舗譲渡の影響に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、売上が減少しています。

2020年3月期の連結業績

(単位:億円)

2020年3月期

前期比

売上高

2,214

+3.5%

営業利益

75

+1.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

37

△31.4%

ROE(%)

3.1%

△1.3pt.

※2019年3月期より売上高にクレジット事業等による収入を含めています。

 

国内オートバックスチェン店舗売上高(全業態)

(単位:億円)

2020年3月期

前期比

カー用品販売

2,147

+0.0%

車検・整備

197

+0.4%

車買取・販売

276

△0.2%

その他

47

△9.6%

全店合計

2,668

△0.2%

※FC加盟法人店舗の売上を含む

セグメント別業績

(単位:億円)

2020年3月期

前期比

国内オートバックス事業    総売上高※
               営業利益

1,793
135

+0.2%
△8.7%

海外事業           総売上高※
               営業利益

117
△3

+4.8%

ディーラー・BtoB・ネット事業   総売上高※
               営業利益

384
0

+28.2%

その他の事業         総売上高※
               営業利益

21
4

△4.1%
△4.2%

※総売上高はセグメント間取引を含む

Q. 新型コロナウイルス感染拡大の影響について

A. 安全対策を徹底した結果、今年度の事業への影響は限定的となりました。

当社グループは、お客様のクルマという移動手段を支え、安心・安全を提供していくことを使命と考えております。このたびの新型コロナウイルス感染拡大に対し、お客様、お取引先様、従業員等の安全を最優先に考えた上で、店舗においては、衛生管理の強化を徹底し、必要に応じて対面接触などお客様との接点を減らす営業時間の短縮や提供メニューの限定など、営業継続の対策を講じました。

具体的な感染拡大防止に関する対策としては、危機対応本部を設置し、何よりもお客様への感染を予防するために、まずは店舗従業員が感染しないことを第一に検討を重ねました。

店舗においては感染予防のため、従業員の衛生対策を徹底(手洗いうがい・手指消毒、体調チェックをはじめ、接客中はマスク・手袋の着用など)するとともに、お客様にも入店時の手指消毒にご協力をいただきました。本社・各事業所の従業員は、原則在宅勤務とし、やむを得ず出勤する場合は、出勤前の検温・消毒を徹底し時差出勤を行うなど、できる限りの感染予防を行いました。

事業における影響については、当社の中核事業が、人々の重要な交通インフラであるクルマに関する事業であることから、現時点においては国内事業に関する影響は限定的であると想定しております。
一方で、当社のフランチャイズ加盟法人に対する支援策を実施しました。具体的には、全国展開の販売促進企画の費用のうち加盟店の負担の一部を減免、2020年4月以降の商品代金請求の1ヵ月分を一定期間支払い猶予を設け、さらに、短期融資制度の制定などを行っています。

Q. 「5ヵ年ローリングプラン」の進捗状況について

A. カーライフに関するあらゆるニーズに対応するネットワークを確立しました。

「5ヵ年ローリングプラン」は、企業や業界の壁、国境など、さまざまな「垣根」を越えて情報やノウハウを集め、新たに生まれる市場とつながる6つのネットワークを広範囲に構築し、それらを連携させることで、クルマを利用するシーンすべてに合わせたサービスの提供を目指しています。この考えに基づき、6つのネットワーク確立・連携に向けた取り組みを加速させていきます。

カー用品販売ネットワーク
オートバックスチェンのさらなる強化に努めながら、ホームセンター、ガソリンスタンド、他のカー用品販売店を含め、カー用品を販売するあらゆる事業者と連携し、それぞれが有するリソースを相互に活用することにより、市場競争力を高めています。具体的には、オートバックス店舗網を活用したフリート取引を拡大させる、異業種に対する直接取引を拡大するなどの取り組みを実施しています。フリート取引では、2020年3月期の取引企業数が、前年比2倍以上となり、異業種への取引も取り扱い店舗数、実績ともに増加しています。

次世代技術に対応する整備ネットワーク
CASEなどクルマに関する新たな技術やトレンドによって、整備の分野においても、次世代技術への対応は欠かせません。具体的には、先進安全技術に対するエーミング(機能調整)や車載式故障診断装置(OBD)を活用した車検といった次世代技術への対応が求められています。

これに対して、当社グループは、次世代技術を備えたクルマの整備に対応した整備事業者と連携することで、技術革新の変革期において、次世代技術に対応可能な整備ネットワークの構築に努めています。その一環として、2019年6月正和自動車販売株式会社と、2020年5月高森自動車整備工業株式会社の子会社化に加え、自動車整備の全国ネットワーク「BSサミット事業協同組合」と包括的業務提携を締結しています。さらに、今後は、エーミングなど特定整備の実施できる指導体制を整備し、特定整備認証の拠点を増やしていきます。

マルチディーラーネットワーク
カーライフの入り口である自動車の購入シーンの中で、お客様とつながるチャネルとして、自らがディーラー事業に取り組むだけでなく、他のブランドを運営するディーラー事業者とも連携することで、メーカーから発信される業界全体の動向、次世代自動車に関する技術を含む車両やメンテナンス情報を収集し、ひいては事業の競争力強化を目指しています。現在は、BMW、MINIのディーラーを都心で7拠点、地方で5拠点展開するとともに、テスラサービスセンターを当社のA PIT AUTOBACS SHINONOMEへ誘致を行いました。

海外におけるアライアンスネットワーク
卸売事業を中心に据えた海外での開発・販売・サービス提供のネットワーク構築を目指しています。国際市場において競争力を有する企業や、独自の革新技術を有する海外スタートアップ企業との連携により、新たなビジネスモデルを構築するとともに、国内外のサプライチェーンとも連携させることにより収益の拡大を図っていきます。仕入先や卸売先の開拓によって、国内のバリューチェーンへの貢献も目指しています。

2019年11月にはこの取り組みの一環として、シンガポールのSK AUTOMOBILE社を子会社化し、安定的な車両登録台数によって、継続的なメンテナンス需要が見込めるシンガポールにおいて板金・塗装、整備ビジネスを展開しています。

お客様とのリレーションを高めるアライアンスネットワーク
事業者間の垣根を越えて、車両やメンテナンス情報、お客様のニーズの変化、そして法令や環境といった社会の変化に関する情報を統合し、各事業の競争力強化の源泉となる情報を整備するネットワーク構築を目指しています。

① 株式会社カーフロンティア(三菱商事グループ)のタイヤECサイトとの戦略的提携
三菱商事グループの株式会社カーフロンティアとの戦略的提携のもと、タイヤの購入から取り付け予約までをネット上で行うタイヤECサイト「TIREHOOD」を運営する株式会社BEADに出資しました。この出資により、TIREHOODのインターネットによる事業開発・サービス開発と、オートバックスチェンの店舗網・技術力を融合させ、ドライバーに対するサービス向上と新たなサービス提供を目指していきます。また、TREHOODの全国4,000以上の取付拠点とのネットワーク構築も図っていきます。

② オートバックス公式アプリの改良
さまざまなサービスがオンライン上で提供されるようになっている現在、お客様と常にデジタルを通じてつながる環境を構築することは不可欠です。当社では、簡単ログイン、起動速度の向上、操作性の向上などを図ったアプリを開発し、位置情報を用いたターゲティング配信や店舗ごとの配信などで、お客様の利便性を向上させていきます。

③ オートバックス公式ショッピングサイト のリニューアル
消費者の購買行動が多様化し、EC市場が拡大するとともに価格競争も激化しています。このような状況に対応し、当社でもサイトをリニューアルし、WEB上での事前決済を可能にし、商品売価の独自設定、WEB上でのTポイント付与などの機能拡充を図りました。お客様の利便性向上につなげることで、リアル店舗への送客とシェア拡大を図っていきます。

「5ヵ年ローリングプラン」を推進するための事業基盤
「5ヵ年ローリングプラン」を継続的に推進していくにあたり、6つのネットワークの確立およびネットワーク間の連携に注力する一方、「人材」「IT」「物流」「財務」「情報」の5つの事業基盤に対する整備も推進しています。

中でも人材に関しては、研修制度の整備を進めています。若手、経営幹部候補、女性幹部、課長などを対象とする選抜研修を継続実施し、さらに将来のグループを担う人材を対象とする将来経営幹部研修については、FCや営業部にもその選抜対象を広げて実施しています。また、従業員の働き方改革においては、すべての従業員がイキイキと働ける環境を整えるべく、時短勤務、半日有給取得制度、在宅勤務、サテライトオフィスにおける勤務、時差出勤、フレックス、これらの柔軟な働き方を実現するICTを活用したコミュニケーションツールの充実など、多様な働き方を選べるよう各種取り組みを行っています。

このほか、先進的なITサービスの提供やワーク・ライフ・バランス支援等を目的としたIT基盤の整備、オートバックス事業における物流の自動化・効率化や、ネット事業の物流能力拡大などの物流基盤の整備、データマネジメントセンタープロジェクトの推進や情報システム部門の満足度向上に向けた情報基盤の整備などに取り組んでいます。さらに、キャッシュ・フロー・マネジメントや投資収益管理の強化などによって、財務基盤の強化も図っています。
これらの基盤整備に加え、推進体制の整備とモニタリングの強化など、戦略推進の実効性とスピードを高める取り組みを行っています。

Q. ガバナンス体制変更後の状況について

A. 監査等委員会設置会社に移行しガバナンスを強化しています。

当社は、2020年3月期から監査等委員会設置会社に移行しました。これまでも、業務執行と監督を分離し、迅速かつ果断な意思決定と適切なモニタリングを両輪とする、より実効的なコーポレート・ガバナンス体制強化を目指してきましたが、さらなる持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すために、監査等委員会設置会社への移行を行いました。


移行のタイミングで、それまで取締役、監査役合わせて12名体制だったものを、取締役7名(監査等委員3名を含む)までスリム化しました。この人数は、当社の規模で考えると十分であり、取締役相互の意見交換の活発化や意思決定スピードの迅速化が実感できていることから、一定のガバナンス強化が図られていると評価しています。

Q.2021年3月期の見通しについて

A.増収増益の見通しです。

当社グループの2021年3月期については、新型コロナウイルス感染拡大に伴う消費の減退により、4月・5月の国内売上高(既存店ベース)は苦戦しましたが、6月には前年並みに回復し、7月・8月は前年を上回る結果となりました。また、クルマの利用機会の増加によるカー用品需要の高まりや、車齢の長期化によるメンテナンス需要の増加に加え、前年度の暖冬による冬季商品の買い控えに伴う需要の増加が見込めるものとみています。

このような事業環境のもとで、2021年3月期の連結売上高は1.1%増加の2,238億円、営業利益は0.2%増加の76億円、親会社株主に帰属する当期純利益は46.1%増加の55億円を計画しています。