「新しいカーライフ文化を創造し続ける」という使命のもと、
新たに策定した「5ヵ年ローリングプラン2019」を推進し、
従来の垣根を超えたネットワークの確立と連携を実現することにより
持続的な成長を目指します。

 

代表取締役 社長執行役員 小林 喜夫巳

株主・投資家の皆様には、日頃より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

当社グループは、将来にわたって提供すべき価値を「クルマを快適に使いたい(安心・安全)」「クルマで出かけて楽しみたい(体験・発見)」「好きなクルマでもっと自分らしく(自己表現)」という3つの領域に定め、「2017中期経営計画」において、商品の開発や新業態の実験を推進するとともに、オートバックス店舗の収益性向上を実現しました。

 

しかしながら、少子高齢化による人口減少やお客様のニーズの変化が進行する中、同業だけではなく異業種との競争が一段と激化しています。また、お客様のカーライフが多様化する一方で、クルマの電子化・自動化やシェアリングサービスの普及などを背景に新たな市場が拡大しています。当社グループの事業環境は今後、さらに大きく、さらに急速に変化するものと予想されます。そうした状況下、現状の計画では持続的に収益を高めていくことは難しいと判断し、新たに5年間の当社グループの方向性を示す「5ヵ年ローリングプラン2019」を策定しました。

 

当社グループは本プランのもと、将来の大きな変化を新たな成長機会とするべく、従来の垣根を超えた事業ネットワークを構築し、新しいカーライフ文化を創造していきます。株主・投資家の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
 

トップインタビュー

Q. 2019年3月期の振り返りについて

A. 国内店舗の収益改善に加えて、車検・整備の拡大で成果がだせた一年と考えています。

当社グループは「2017中期経営計画」において、店舗と商品の魅力を高めることによる「国内オートバックス事業の競争力再生」と、海外事業および新規事業による「将来における新たな事業の育成」を2本柱として、さまざまな施策に取り組んできました。
その結果、2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比0.7%増加の2,138億円、営業利益は同4.0%減少の74億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1.5%増加の54億円となりました。

セグメント別に見ますと、国内オートバックス事業では、店舗子会社のFC加盟法人への事業譲渡に伴い、売上高・営業利益が減少しましたが、国内のオートバックスチェンの売上高は前期比0.5%の増加となりました。また、前期に店舗活性化策として1年限定で実施した「FC加盟法人向けの卸売粗利率の引下げ」を元に戻しましたが、チェン全体では、店舗在庫の効率化や、車検・整備などピット売上の増加により粗利率の改善が継続し、店舗の収益力は一段と向上しました。販売面では、タイヤが前期の関東での降雪需要の反動等により減少しましたが、お客様の安全意識の高まりからドライブレコーダーの販売が伸長しました。

海外事業の売上高は、フランスやタイでの店舗数増加に加えて、オイル等の卸売の拡大により伸長しました。また、卸売事業のグローバル展開を加速するため、新たに豪州「AudioXtra PtyLtd.」を子会社化しました。しかしながら、小売事業では営業損失が拡大しました。また、ディーラー・BtoB・ネット事業についても、利益確保の面で課題を残しました。

2019年3月期の連結業績

(単位:億円)

2019年3月期

前期比

売上高

2,138

+0.7%

営業利益

74

△4.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

54

+1.5%

ROE(%)

4.4%

+0.1pt.

※2019年3月期より売上高にクレジット事業等による収入を含めています。

 

国内オートバックスチェン店舗売上高(全業態)

(単位:億円)

2019年3月期

前期比

カー用品販売

2,146

+0.2%

車検・整備

196

+4.4%

車買取・販売

277

△0.1%

その他

52

+5.6%

全店合計

2,672

+0.5%

※FC加盟法人店舗の売上を含む

セグメント別業績

(単位:億円)

2019年3月期

前期比

国内オートバックス事業     売上高
                営業利益

1,790
148

△1.2%
△6.2%

海外事業            売上高
                営業利益

112
△7

+18.0%

ディーラー・BtoB         売上高
                営業利益

300
△10

+5.6%

その他の事業          売上高
                営業利益

22
4

△6.1%
△1.4%

Q. 「国内オートバックス事業の競争力再生」の成果について

A. 大きく5つの観点での取り組みを推進しました。

買上点数および購入単価が上昇
1つ目は「魅力ある商品の開発」です。採算性の高いプライベートブランド「AQ.」のラインアップを大幅に拡充しました。また、クルマに関わるライフスタイルブランドとして「JKM」「GORDONMILLER」を立ち上げ、これまでにないマーケットの創造に挑戦しました。さらにシニアドライバーの増加に対応し、ドライブレコーダーの品ぞろえを強化したほか、オリジナル商品として急発進防止装置「ペダルの見張り番」等の販売にも注力しました。また、ドローンやペダル付きの電動バイクの販売を通して、クルマを使う新たな体験の提案に努めました。こうした取組みは、お客様一人当たりの買上点数や購入単価の上昇につながっています。

既存店でのリノベーション効果は見られるも、新業態のローコスト店は想定通り進まず
2つ目は「お客様のニーズに応える売り方の開発」です。主に新業態の開発と既存店舗の改革を推進しました。
新業態開発については、2018年3月に日本初のクルマを通じたライフスタイルショップ「JACK& MARIE 横浜ベイクォーター」をオープンし、「JACK & MARIE」ブランドのリアル店舗は4店舗まで拡大しました。2018年11月には、当社グループの旗艦店である「スーパーオートバックス東京ベイ東雲」をリニューアルし、クルマと共に過ごす居心地の良い空間や、ライフスタイル別の提案により、新たな体験・発見を提供する「A PIT AUTOBACS SHINONOME」としてオープンしました。

また地域のニーズにあわせ、ガレージライフを楽しむお客様向けの店舗として「スーパーオートバックス富山南」を、家族みんなが楽しめる店舗として「スーパーオートバックス盛岡南」をそれぞれリニューアルしました。一方で、商品やサービスを絞り込みローコストで運営できる新業態を開発しましたが、当初の想定通り拡大させることができず、計画を見直しています。

既存店舗の改革については、各現場での接客効率の分析に基づき、売場の人員配置や従業員の時間管理などオペレーションの改善を進めるとともに、売場ゾーニングの変更、ピットやトイレの美装などリノベーションを進めました。リノベーションを含む店舗改革は全体の約2割に相当する127店舗で実施し、店舗スタッフ1人当たりの売上・粗利ともに改善傾向が見られることから、引き続き他の店舗でも実施していきます。

来店客数の増加は継続課題
3つ目は「ファミリー層、若年層のお客様の取り込み」です。少子高齢化に加えて、若者のクルマ離れも指摘される中、当社グループにおいても20代から30代の活性化とファミリー層の開拓を中心とする来店客数の増加が最重要課題となっています。そこで商品開発や業態開発のみならず、お客様の声を店舗の運営改善につなげる「カスタマーボイスプログラム」を活用し、店舗指導を強化しました。また、お買い物ポイントを「オートバックスポイント」から「Tポイント」に統合し、利便性を高めました。しかしながら、カーディーラーやネット販売企業など異業種との競争が日増しに激しくなっており、依然として来店客数の増加には至っていません。今後は、お得意様を増やす会員制度の導入や、SNSなどのデジタル広告も含めマーケティング費用の効果的配分の見直しを進めます。

整備士を育成・確保する仕組みを構築
4つ目は「人材の確保・育成と活性化」です。日本では人手不足が深刻化していますが、オートバックス店舗では人手が欠かせませんので、まずは従業員の定着を重視した取り組みを推進しました。具体的には、キャリア支援や職場環境の充実のほか、お客様の声によって選ばれたスタッフや店舗の表彰を積極的に行い、人材のモチベーションを高め、評価する仕組みを強化しました。
とりわけ大きな課題となっている整備士の確保については、チェン内に派遣する整備士を養成・教育する機関として(株)チェングロウスを2017年3月に設立し、短期で整備士の資格を取得できる仕組みを構築しました。また、在留期間の定めはあるものの、海外技能実習生を整備士として育成し、オートバックス店舗で積極的に受け入れています。
加えて毎年、全店約3,800名の整備士から「Professional & Friendly」 を体現するロールモデルを「AUTOBACS GUYS」として選出し、テレビCM等に起用しています。こうした取り組みの結果、近年は女性の整備士の活躍も目立っており、ダイバーシティが着実に進展しています。

物流コストの低減等に課題を残す
5つ目は「事業基盤の強化」です。これに関しては、管理系部門での業務効率化やITコストの削減、購買改革などで一定の成果が見られますが、外部要因により上昇する物流コストの低減や、店舗業務の省力化などで課題を残しました。

Q. 「将来における新たな事業の育成」について

A. 将来の成長ドライバーを確立すべく海外事業と新規事業に注力しました。

グローバルな卸売の収益モデルを実現
海外事業においては、国ごとに異なるニーズに合わせて、卸売および店舗での小売やメンテナンスを展開しています。卸売については、日本ブランドとして定評のあるオートバックスブランドへの信頼の高さを背景に、各地域において商品開発を進めるとともに、中国、ロシア、アセアン地域等で販路を拡大しました。また、オーストラリアの卸売会社「AudioXtra Pty Ltd.」を子会社化してさらに販路を広げ、グローバルな卸売の収益モデルを実現しました。一方で小売については、特にフランス、タイの店舗の収益改善が喫緊の課題であると認識しています。

先行投資と並行して収益構造改革に着手
新規事業については、ディーラー・BtoB・ネット事業に注力しています。
ディーラー事業では、拠点増加の一方で、店舗間での在庫管理の強化やメンテナンス等のサービス収益の拡大を図るため、ディーラー事業を統括する子会社を設立し、経営体制の再整備を行いました。

BtoB事業では、オートバックスチェン以外への卸売などを推進する2つの子会社、コアーズインターナショナル(株)とパルスター(株)を統合し、(株)CAPスタイルとして事業再編し、商品開発機能およびマーチャンダイジングのコンサルティング機能を有するカー用品総合商社を目指しながら、収益改善を図っています。また、ネット事業では、FC加盟店との共創により、ネットとリアルを融合させた仕組みの構築を推進しているところです。

Q. 新たに「5ヵ年ローリングプラン2019」を策定した背景について

A. カーライフに関するあらゆるニーズに対応するネットワーク確立を目指しています。

「2017中期経営計画」は、商品の開発や新業態の実験を推進するとともに、店舗の収益性向上を実現しました。しかしながら、今後の事業環境を考慮すると、現状の計画では将来にわたって収益を高めていくことは難しいと判断した結果、「2017年中期経営計画」を見直し、新たに5年間の当社グループの方向性を示す「5ヵ年ローリングプラン」を策定しました。

当社グループは、「新しいカーライフ文化を創造し続けること」を使命とし、従来の垣根を越えて、日本初のカー用品のワンストップショップとしてオートバックスという業態を開発しました。ところが、今はむしろオートバックスという業態に引っ張られて自ら垣根を設ける守りの姿勢になっていることを、「2017中期経営計画」での取り組みを通して痛感しました。これでは今の時代、さらにその先の時代に向かって、成長し続けることはできません。

そこで新たに策定した「5ヵ年ローリングプラン2019」では、商品を販売して終わりの業態ではないことを強く認識し、特に小売業という枠を取り払って、これまでアクセスしていない市場、あるいは新たに生まれる市場とつながるネットワークを広範囲に構築し、カーライフに関するあらゆるお客様のニーズに対応するネットワークを整備します。

具体的には、「オートバックスチェンネットワーク」「海外におけるアライアンスネットワーク」「マルチディーラーネットワーク」「最適なサービスを提供するピットのみのネットワーク」「次世代技術に対応する整備ネットワーク」、そして「お客様とのリレーションを高めるオンラインネットワーク」といった6つのネットワークの確立と連携により、中長期的な成長の実現を目指します。

本部、直営店および地域に密着したFC加盟店から成るビジネスモデルを核としながらも、必要であればオートバックスの看板にこだわらず、多方面にネットワークを広げていきます。今あるものを強める「強化」ではなく、新しいものへと「進化」を目指すものです。

Q. 6つのネットワークのポイントについて。

A. 既存店舗やネットを活用する中で、お客様にサービスを提供する有機的に融合したネットワークの構築を目指します。

6つのネットワークの確立と連携は、新たに店舗網などの物理的なインフラを構築するという話ではなく、既存店舗やネットを活用する中で、お客様が必要とする最適な商品・サービスを提供できる有機的に融合したネットワークを構築することです。

1つ目の「オートバックスチェンネットワーク」では、国内店舗で「安心・安全」「体験・発見」「自己表現」という3つの価値を提供します。2つ目の「海外におけるアライアンスネットワーク」は、卸売事業を中心に据えた海外での開発・販売・サービス提供のネットワークです。3つ目の「マルチディーラーネットワーク」とは、国産・輸入を問わない取り扱い車種のマルチ化だけでなく、所有にこだわらないリースやカーシェアリングへの対応も含みます。ここでは、ただクルマを販売するだけでなく、他のネットワークと連携してメンテナンスなどで付加価値を高めます。4つ目の「最適なサービスを提供するピットのみのネットワーク」とは、インターネットあるいは他店での購入商品に対しても、取付・交換サービスを一手に引き受けるネットワークです。また、5つ目の「次世代技術に対応する整備ネットワーク」は、先進安全技術のエーミング(機能調整)や車載式故障診断装置(OBD)車検といった次世代技術を要する整備ネットワークです。これら2つは、これから大きく変わるクルマ管理への対応に備えるということです。

最後の6つ目は「お客様とのリレーションを高めるオンラインネットワーク」です。当社グループは、これまでリアル店舗を中心に展開してきましたので、Eコマースやウェブ予約等を通じて新たなお客様へのアクセス手段を確保するとともに、他のリアルネットワークと密接に連携することで大きなシナジーを期待しています。

Q. 新たなプランの進め方について

A. 戦略推進の執行・監視体制の変革で実効性を担保します。

今回策定したローリングプランは、2020年3月期から2024年3月期までの5年間としますが、固定的に捉えず、環境変化に応じて5年後の方向性を年度ごとに精査し、必要に応じて戦略の見直しを行い、当初の計画に修正を加えていきます。将来に向けた持続的成長基盤の整備に主眼を置き、数値目標については単年ごとに公表します。

一方で、業務執行がしっかりと担保されるよう、執行・監視体制を抜本的に変革しました。まず、監査等委員会設置会社への移行によって、取締役7名中3名を独立社外取締役とし、戦略推進の実行性とスピードを高めると同時に、外部の目によるモニタリングを強化しました。そして、執行責任者の評価についても見直し、取締役兼執行役員には株式報酬制度を導入しました。株主の皆様との価値共有を促進することで、中長期的な視点で企業価値の持続的な向上を図る経営が行われる仕組みとしました。また、新規事業に対しては、部門横断での連携を高める体制としました。併せて、今後の成長の鍵を握るBtoB事業およびネット事業については、担当執行役員を置き、推進力を高めるため事業として切り出しました。加えて、全社的にチャレンジを推奨する風土作りを継続して強化していきます。

Q.2020年3月期の重点施策と業績計画について

A. 店舗収益の改善が継続し、増収増益の見通し。5年間の累計総還元性向100%を目指します。

2020年3月期の連結売上高は4.3%増加の2,230億円、営業利益は7.0%増加の80億円、親会社株主に帰属する当期純利益は5.7%増加の58億円を計画しています。消費税増税の影響が不透明なうえ、車検対象台数の減少サイクルに当たりますが、引き続き店舗収益の改善が続き、増収増益を見込んでいます。

重点施策については、「5ヵ年ローリングプラン2019」の推進と並行し、足元の収益を支えるため、事業基盤の整備を一段と進め、筋肉質な収益体質への進化を目指します。具体的には、「2017中期経営計画」で得られた知見や課題を踏まえ、国内オートバックス事業における経営資源の最適化や小売収益の拡大、実験業態店舗の見直しや海外小売事業の縮小、IT基盤や物流基盤の再構築を図っていきます。なお、現状の財務基盤は強固であり、今後5年間累計の利益のすべてを株主様に還元する方針です。