時代の変化を見据え、カーライフの新しい価値を提供するために
オートバックスグループは常にチャレンジし続けます

株主・投資家の皆様には、日頃より格別のご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

当社グループは、「新しいカーライフ文化を創造し続ける」という使命のもと、「2050未来共創」ビジョンを掲げています。今、クルマを取り巻く環境は、100年に一度とも言えるほどの大きな変革を迎えています。それに対して、創業以来70余年培ってきた知識・技術力・ノウハウをもとに、クルマに関わるプロフェッショナルとして果敢にチャレンジし続けていかなければならないと、思いを新たにしています。

当社グループは小売・流通のトップランナーとして、時代の先にあるもの、変化の先に求められるものを常に探し続けることを使命としています。商品・サービスや売場のあり方を常に模索し、新しい提案のために何をなすべきか考え、実行していかなければなりません。そのためには、チャレンジを恐れない企業風土や人材を育み、スピード感を持って臨むことが不可欠であると考えています。
そして、昨今の先が読めない社会環境の中では、その変化をいち早く察知して、新たなリスクを機会に変えていく必要があります。事業を通じて持続可能な社会に貢献する企業として、安心・安全でやさしい社会の実現に向けたさまざまな価値を創造していきます。


当社グループでは、これらの取り組みを進化させるため、当該事業年度から向こう5年間の当社グループの方向性や戦略を示す「5ヵ年ローリングプラン」を策定しています。本プランでは、将来の大きな変化の中でも、新たな成長機会を獲得できるようにし、さらには新しいカーライフ文化の創造につながることがを目指して毎年見直しを行いながら進めていきます。

ステークホルダーの皆様には、共に未来を創るパートナーとして、挑戦を続ける私たちの姿に今後ともご期待いただければと思います。

代表取締役 社長執行役員 小林 喜夫巳

感染症拡大による急激な変化の中、企業として大切にすべきことを見極めた1年

2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症の拡大に大きく影響された1年でした。私たちは、何よりもまずお客様・お取引先様・従業員の健康を守ることを最優先とし、「感染しない・感染させない」ための対策を継続してきました。また、クルマが生活における重要な移動インフラであることが再確認されたことから、このようなときこそクルマの安心・安全を徹底して守らなければならないと改めて強く感じました。

店舗やピットでは衛生管理を徹底するとともに、お客様との接触を最低限にとどめるよう取り組んできました。また、オフィスにおいては、緊急事態宣言発令時は原則として在宅勤務とし、それ以外の期間も在宅勤務・リモートワークを可能な限り実施しています。リモートワークについては従前より導入をしていましたが、感染症拡大を受けて想像以上にスピードが上がり、対策を一気に進める形となりました。

さらに、フランチャイズチェン加盟法人の経営を守ることも重視してきました。法人のサポートとしてストアパーソナリティの減免や商品代支払猶予の実施、融資への切り替えなどによる支援を実施。
また店舗のサポートとして、オフィス勤務スタッフの応援派遣や、店舗に入るお問い合わせや予約等の電話応対をサポートするなどの支援策を講じ、店舗指導にはオンライン会議を活用しました。

感染症の拡大によって、お客様の非接触に対するニーズが増大したこともまた、大きな変化のひとつでした。そこで、2020年7月に公式サイト・オートバックスドットコム内のショッピングサイトのリニューアルを行い、操作性の向上を図るとともに、商品の店舗受取の場合もオンライン上で事前決済ができるようにしました。さらに、2020年10月にはオートバックスアプリのリニューアルを実施。起動速度の改善や操作性の向上により快適な予約体験を実現するとともに、ログイン方法の追加や、車検証二次元コードをスキャンするだけで車両情報の登録を可能にし、さらなる利便性向上を追求しました。

一方で、リアルな店舗が持つ価値も、改めて見直されています。ネットでは見つけられない商品を探したり、そもそも自分のクルマに必要なものが何かわからないとき、使い方がわからないときなどは、店舗で実物を手にとり、アドバイスを受けながら買い物をしたいと感じることでしょう。また、タイヤをオンラインで購入したものの、取り付けはプロに任せたいというご要望も多く見られます。

現在、5年間の当社グループの方向性を示す、5ヵ年ローリングプランを進めていますが、今回の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、時代によって変化するニーズに応えていくことの重要性を改めて見つめ直しました。
5ヵ年ローリングプランでは、その全体を木に例えた場合、業界の垣根を越えたネットワークを根、私たちの持つ基盤を幹とし、お客様へのタッチポイントとしての事業を花開かせることを目指しています。

クルマの購入手段や利用の仕方が変化する中でお客様の利便性を向上させるためには、すべてを自前主義で賄ったり、投資を通じて優れた技術・サービスを開発するだけでは、スピード感が不足します。業界全体で大きな変革が起きているときだからこそ、多様なパートナーと連携し、お互いの得意なこと・優れていることを組み合わせて乗り越えていかなければならないのです。強いパートナーシップによる共創が実現すれば、新しいマーケットの創造も可能になるはずです。

2020年8月に自動車整備の全国ネットワーク「BSサミット事業協同組合」と包括的業務提携を締結したのも、こうした考え方を反映した施策のひとつです。当社グループが有する約600の拠点とBSサミットの組合員工場の双方のリソースを活用し、整備のローカルネットワークを強化することで、クルマのユーザーに質の高いサービスを提供する体制を構築できるようになっています。

時代とともに変化する「クルマ」の価値を商品・サービスを通じて支え、広げていく

今、クルマをめぐる環境は劇的に変化しています。自動運転は実用化に向けて着実に進化し、電気自動車の普及も進んでいます。海外では、従来の巨大な自動車メーカーのみならず、新興企業が安価な電気自動車を生み出し市場に投入する例も増えています。

また、Connected(コネクテッド)・Autonomous(自動運転)・Shared &Ser vices(シェアリングとサービス)・Electric(電動化)=CASEや、移動することをサービスと捉えるMaaS(Mobilityas a Service)など、乗り物の価値観を変える新しい概念が浸透しつつあります。クルマを購入・所有せずにカーシェアやサブスクリプションで利用することも一般的になりました。こうした変化は、カーライフの在り方にも影響を及ぼします。

しかし、どんなに新しい価値観やサービスが広まったとしても、安心・安全を保つためにはクルマのメンテナンスが必要です。クルマに搭載される電子制御装置は増える傾向にあり、従来の整備技術だけでなく「電子のスパナ」と呼ぶべき新しい技術も必要になります。また、仮に事故が起きた場合に責任を明確化するためには、整備や調整の履歴をエビデンスとして明確に残すことも必要です。グローバルな販売網を持たない新興企業は、ディーラーが有していた販路や機能を持たず、お客様に対する手厚いサポートを期待できないケースも多いため、アフターマーケットの重要性はこれまで以上に高まると見込まれます。

当社グループは、これまで培ってきたサービスやディーラー事業の経験を生かし、こうしたニーズに応えていけるものと考えています。また、クルマを取り巻く社会課題にも真摯に向き合っていかなければなりません。

例えば、高齢者をはじめ運転に不慣れな方によるアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故を未然に防ぐ課題については、オートバックス専売商品である急発進防止装置「ペダルの見張り番Ⅱ」を販売。対応車種は200車種以上に拡大し、さまざまなメーカーの車種に後付けが可能となっています。この装置は国土交通省から認定を受けてサポカー補助金制度の支給対象となりましたが、さらに「オートバックス追加補助金」を加えてお客様の負担額を軽減するキャンペーンを実施し、普及の後押しを行いました。

さらに、クルマの楽しみ方も時代ごとに変化しています。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、安心して自由に移動できる 「空間」としてクルマが見直され、オートキャンプやアウトドアが、密を避けて楽しめるレジャーとして関心が高まりました。当社の旗艦店「A PIT AUTOBACS SHINONOME」は、2018年のリニューアル時から「クルマ」と「文化」「旅」「スポーツ」「自然」「家族」などのライフスタイルに沿ったテーマを掲げて売り場を作ってきましたが、こうしたクルマとの新しい楽しみ方の提案を今後も継続していきます。
「オートバックスのお店に行けば何かが見つけられそう」という体験・発見のワクワク感を与え続ける場として店舗が機能すればと考えています。

一方、従来から売場やサービスを提供しているモータースポーツやクルマのカスタマイズに興味を持つお客様向けにも、好きなクルマを自分らしく楽しみたいという自己実現をさらにサポートしていきます。

このように、多様化するお客様ニーズ応える価値提供を行うためには、私たちが「プロフェッショナル」としてお客様に信頼され、何でも気軽にご相談いただける「フレンドリーな存在」になることが求められます。お客様に最適なカーライフを提案できる存在となれるよう、私たち自身が常に研鑽を重ねなければならないと感じています。

私たちが長年にわたりクルマとのさまざまな関わりの中で培ってきた技術や知見は、クルマにとどまらない新市場やライフスタイルの創造にも役立てることができると考えています。

例えばドローンを使用した配送サービスや物流への活用は、当社と大分県が2019年に締結した地域活性化に関する包括連携協定の取り組みのひとつとして力を入れています。2021年2月には、ドローンによる医薬品配送に向けた実証実験を開始。ドローンによって必要な医薬品の即時配送が可能となれば、訪問医療時の突発的な医療品不足にも対応できるようになり、慢性症例以外の症状への対処時間を短縮することができます。地域医療の向上とともに、へき地医療への負担軽減にも貢献できるものと期待しています。

クルマを取り巻くさまざまな環境変化は、当社グループにとって必ずしも追い風となるものばかりではありません。従来のやり方が通用せず、困難に立ち向かわなければならないことも想定されます。新しい分野には正解と呼べるものがなく、挑戦し失敗を繰り返しながら、次の一手を見極めていくということも必要になるでしょう。私は、当社グループがこうした環境変化を新しい機会と捉え果敢にチャレンジをしていく文化を、今改めて築き上げたいと考えています。

クルマの進化に合わせて自分たちの守備範囲を広げ、パートナーシップも活用しながら、お客様目線のフレンドリーな姿勢で次のマーケットを探していく。正解がないからこそ、共に取り組み一緒に未来を創っていく共創が可能だと考えています。

当社、フランチャイズ本部は、マーケットを創造することが仕事です。未来を見据え、加盟店に対して目指すべき方向性を示し、よりよいパートナーシップのあり方を提示することで、新たな道を切り開いていきます。加盟店は、示された方向性を具現化していくことによって、これまで以上に地域との強いつながりを築くことができるようになると考えています。

100年企業として存続するために、組織や人材のあり方を自らに問い直すことが重要

当社グループは、「2050未来共創」ビジョンのもと、社会から求められ続ける「100年企業」を目指しています。その実現に向けて、ESG・SDGsに関する取り組みは不可欠であると考え、2021年1月に社長執行役員をリーダーとしたプロジェクトを発足しました。

プロジェクトの活動を通じて、社会課題の再認識とマテリアリティの再検討を行い、当社が実現したい社会像を「人とクルマと環境が調和する 安心・安全でやさしい社会」と定義しました。そして、当社が積極的に解決すべき社会課題を明確にするとともに、それらが当社にとってどのようなリスク・機会となるかを分析し、今後の経営戦略に落とし込んでいく考えです。また、今後は重要課題のKPI設定を行い、活動のモニタリングに役立てていきます。

社会課題の解決によって新たなビジネスの創出を目指すためには、オートバックスグループの約15,000人のスタッフが、それぞれの能力や個性を発揮することもまた不可欠です。そして、一人ひとりが仕事を通じてよろこびや誇りを感じてほしいと願っています。

そうした思いから、多様性に関する取り組みに力を入れています。例えば、当社社員の女性比率を向上させるためにさまざまな施策を導入していますが、そのひとつとして私が女性社員の思いや悩みを直接聞くための対話会を開催したこともあります。
女性社員たちの中に一人で入っていくことで自分が少数派の立場に置かれたときの気持ちを知ることができ、参加してみて初めてわかったことがたくさんありました。そこで出た案件から制度などが変わったものもあります。

また、整備士の育成も重要なテーマです。前述のとおり、クルマに搭載される装置や技術は先鋭化しており、従来のスキルだけでは対応できなくなっていきます。これまで整備工は3K仕事に分類されることもありましたが、当社グループの事業と、安心・安全を支える重要なプロフェッショナルとして、またお客様に寄り添えるフレンドリーな存在として高いスキルを有した人材をより多く育てていかなければなりません。
今後も、公的資格の取得に向けた研修などに注力するとともに、整備士のロールモデルとなる「AUTOBACS GUYS」を毎年選出し、その活躍を広く社会に積極的に発信する取り組みを継続していきます。

さらに今後は、当社グループの経営を担う人材の育成にも力を入れていく考えです。国内外に数多くの子会社を抱えていることもあり、経営のプロフェッショナルとなる人材を数多く育て、活躍の機会を与えていくことも重視していきます。

経営計画

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